"作り手の思いを包みこんだ場所"で、"思わず顔がほころんじゃうようなStory"を生みだしたい。
てづくり市は「ヒトとのつながりを育む」ことができる場所。
出店が決まった作家さんは、自分の世界を作品のみならずディスプレイ小物など細部でも表現しようとします。お店空間に込められた世界観は一つのブランドとなり、魅入られたファンが集います。
お店という『自分そのもの』を知ってもらえる事こそ最も嬉しい瞬間。
店主がこだわりぬいた、見ているだけでわくわくするお店空間がそこにはあります。
お客さんにとって作家さんとの出会いは、作品をより魅力的なモノとし一点物の価値をさらに引き上げます。
作品に込められた価値を認めあい、作家一人一人が輝ける場所を目指します。
「出店するのが目標でした。とっても嬉しい♪」。
てづくり市ではお客さんと出店者の境があまり無いのかもしれません。
常連のお客さんが出店者になる流れは幾度となく見てきたし、出店者(作家)も出店していない日に他の市に遊びに行くのが楽しみの一つだと聞きます。
てづくり好きのお客さんの総人口が増え、そこから出店者が生まれれば各イベントへの関心が増し、出店者もお客さんも増える。
てづくり市が増えることでもたらされるこの素敵なサイクルが、地域のハンドメイドをより活発にしていくのだと思います。
今はまだ作家の卵だけれど、これから素敵な出会いをたくさん得て、羽ばたく姿を見るのが待ち遠しいです。
たまたま数人からてづくり市デビュー当時の話を聞きました。
ある人は、初めてのてづくり市で夜も寝られずドキドキしていたと言います。
またある人は、元々フリマで作品を売っていたと言うが、値段もフリマに合わせてなかなかの低価格。
当時の写メを見せてもらいましたが、今と全く違う作品は初々しく試行錯誤を繰り返しているようでした。
5年経った今、京都・大阪の大きなてづくり市に出るようになり、海外からのバイヤーの目に留まるほどになっても、あの頃の初心の思いは色褪せないらしい。
「あの頃は若かったわ~ |_-。)」。写真で過去を振り返るその姿。
理想に向かってこの人はまだまだ旅の途中なんだと思いました。
あるてづくり市来場者さんに教えてもらって気づいたこと。
「これとこれはあの人の新作で、このニット小物はあの人。てづくり市に出始めたときから知っている人達だけれど、みんな素敵な成長っぷり^^」
聞けばディスプレイ・接客ふるまい等々、最初の頃からは考えられないくらいクオリティが上がっているという。手作り市を巡っているという人からお墨付きをもらって本人も嬉しそうでした。
てづくり市は作家一人一人がメインとなって作り上げるものなので良くも悪くもすぐに全体の雰囲気に結びつきます。
何気ない一言だったのだろうが、歴史を知っている常連お客さんの言葉。とても考えさせられます。
屋外開催のてづくりイベントでは1年のうち何回か天気に悩まされる事もあります。
何年も出店している常連さんは、雨や風に対して色んな知恵を持っています。雨の日は特製シートで雨よけしたり・・。風が吹けば、テントがあおられるのを防ぐために幌をはずしたり、常日頃からテント重し(多くのイベントで持込み必須)を用意する等、事故が起こらないよう準備は万端です。
来場者さんが途切れ途切れになる中、雨の日特典でノベルティをプレゼントするなどして場を盛り上げてくれる作家さんも見かけます。
逆境こそ助け合い。絆が深まり、最後雨上がりのおてんとさまに心から感謝することも。
雨の日に一人でも多くの方に「それでもいい一日だった」と思ってもらえたならば、そのイベントは大きな力を得て次へとつながります。
てづくりイベントには実に様々な立場の人間が関わります。
出店作家・飲食・キッチンカー・イベントを盛り上げてくれるパフォーマーetc..皆が同じ空間を共有し、来場者さんに楽しんでもらえるようそれぞれの役目を果たす。
もちろん場所の提供元や付近住民の歓迎がなければ続けること自体もむずかしくなります。
一見成功しているイベントでも、多少なり違和感を感じている人がいれば次の開催へのはずみはつきません。
何事も続けていく上で小さな問題事は付きものです。てづくり市においては「それぞれがお互いの立場を尊重し認め合う」事の重大さは何事にも勝ると思います。
立場を越えてお互いが認め合えたとき、誰もが楽しめる空間が自然とできあがります。
心を込めて仕上がった作品はひと目見て「美しい」と感じるが、
作家の心意気・努力してたどりついた過程を知るとますます価値があがる。
デザインと品質のバランスは「真に良い物」を提供しようとするときに避けては通れない。
何人かのアクセサリー作家が、一見気づきづらい部分に二重三重に強度を増すための工夫をし、相当な時間を費やしていることを知った。
『全てはお客様のため。』
作品からにじみ出るこの思いがファンを引きつける。
「あそこのディスプレイすごくかわいい!全部すき!」
ある作家さんが他の出店ブースを指して言った言葉です。
独創的な作品がならんだそのブースに目をやると、なるほどとても見応えのあるディスプレイがありました。お客さんへ向けて配慮された配置と自分の世界観へのこだわりが見られました。
ディスプレイ褒められてたよと告げると「そういう風にディスプレイ見てくれている方がいるのがむっちゃ嬉しい。」と大喜び。後日「作家さんへの5つの質問」というアンケートをとることになったとき、皆さんに何が知りたいかをたずねたところ、返ってきた返事の一つに書かれていたのが・・『みんなのディスプレイに対してのこだわり聞いてみたいな』だった。
各ブースの店主が色々工夫しているディプレイに注目すると、また違った見方ができて楽しいかもしれませんね。
お買い上げした作品と一緒にショップカードが入っていることがあるかもしれません。
ショップカードは作品がきっかけでつながったご縁を大事にしたいというキモチそのもの。
嬉しかった気持ちは是非聞かせてほしいし、不備があったときには知らせて欲しい。
作家とお客さんをつなぐ大事な役割です。
作家さんのショップカードはかなり個性的。
手作りにこだわって消しゴムで作ったハンコを押している人、台紙を紅茶で染めている人もいました。
あなたの手にしたショップカードも、よく見ると店主のひそかなこだわりがみつかるかもしれませんよ。
規模の大小にかかわらず、てづくり市それぞれには独特の一体感があると思う。その一体感はどこからくるのだろう。
もちろん運営と一緒に市を盛り上げようという出店作家の気持ち・おもてなしの心がまとまりを生むのだけれど、数年続けるとよく似た仲間が集うことで居心地の良さを生んでいるに違いないと感じました。
作家は自分に合うテーマに沿ったてづくり市を選び、てづくり市は作家とともに成長する。
作家は横のつながりでどんどん寄るから市のカラーはさらに深まる。
居心地良いと感じた作家全員の表情が、お客さんをどんどん引き込むのだろう。作家とお客さんが結びついて全体の一体感が生まれるってシンプルだけど奥が深い。
この居心地を一人でも多くの方にシェアしたいです。
「旅を楽しみ、作品を世に広めながら、自身も向上できる。このスタイルが自分に合っているんです」
距離をいとわず一期一会を求めて全国各地を周遊する作家さんがいます。
以前お会いした方は、「この市にまた戻ってきます。来年のこの月に。」と言い残して静岡に帰って行きました。
旅仲間同士の横のつながりにびっくりすることがある。東北や北海道の作家を招いてイベントをするなど他の誰もマネできない。またたくさんのイベントを渡り歩く出店者はみな独特のオーラをまとっていると思う。
旅人作家さんしか味わう事のできない色んな場所での経験談を聞くのがすきです。
遠くに繰り出す人にとっても『ホームのようなホッとできるてづくり市』があるみたい。
それは自身の作家デビュー思い出の場所であったり、作家つながりで知り合いがたくさんいる場所、地元出店だったりします。やはり安心感が違うようです。
隙間時間を見つけては、ご近所ブースめぐりをするのも出店の楽しみの一つ。
出店に関しての楽しいこと・なやみをシェアできる作家さんが多いというのは居心地がいいんだろうなぁ。
慣れた場所で何十回も出店してる人が言いました。
「やっぱり落ち着きます。ここが私のホーム☆」
リラックスしている風だったので、じゃあここでは緊張する事はないの?って聞くと
「対面で毎回緊張です。慣れたいんですけどムリ~(/ω\)」
「当店は全て材料にこだわって~」。てづくり市ではこのような説明を多く見かけます。
金属アレルギーに配慮したピアス、添加物を含まない天然成分の雑貨石けん。100%天然精油にこだわったアロマキャンドル。安全安心な素材や塗料で作った木工作品・・etc
直接肌にふれたりするものであれば、作り手から素材へのこだわりを聞くことが大きな安心を生みます。無農薬有機栽培の野菜を生産者で選ぶように、てづくり品も作品に宿った「作り手の思い」で選ばれて欲しいと感じます。
てづくりの良さに直接ふれられるのは、作り手が直接販売するてづくり市ならではかもしれません。
先日あるお客さんが、『自分へのご褒美が届いたよ』と作品を見せてくれました。
お気に入り作家さんに直接お願いして、完全自分好みに仕上げてもらったそう。リクエスト以外にも作品の隅々まで細やかな配慮がみられました。
作家さんによってはセミオーダーやオーダー注文をストップしている場合もありますが、もし可能だったらてづくりイベントで注文してみるのも楽しいです。
オーダー品の完成を待っている時間が何よりわくわく。そんな楽しみ方を見つけたとき、すっかりてづくり市の魅力にはまっているかもしれません。
作品に込められた世界観に魅了された、多くのファンをもつ作家さんがいます。
その場でしか買えない一点作品をめざし、毎回大勢のお客さんが駆けつけほんの数十分で全て売り切れになる。
「開場と同時にブースに向かったつもりなのに、作品は全てお客さんの手の中にあって・・次は走ります(TT)」とお客さん。
しかしどれだけ知名度が上がっても作家さんは謙虚な姿勢を崩しません。
「常にお客さんを意識し喜ばせられなければそこで自分の成長は止まると思います。それは作品にも表れやがて飽きられてしまう」
お客さんが目の前で喜んで手にとってくれるその姿がモノ作りの原動力であり、もらえた力を次の作品制作につなげたいと話してくれました。
てづくり市では似顔絵や筆文字・はんこなどの実演ブースも見られます。
目の前で仕上がる様子が楽しいので足を止めて見てくれるお客さんは多いが、そこで思わぬ出会いも・・。
あるカップルの似顔絵を描いた作家の話。
いつも通り作品を仕上げ、相手に手渡すと素晴らしく感動した様子で
食い入るように自分たちの描かれた絵を見ていました。
「こんなに良く描いてもらえるなんて・・そうだ・・私たちが結婚するときのウェルカムボードにさせてください」
作家はというと、「そんなつもりで描いたのじゃないので・・」
「そんな大事な似顔絵ならば、もう一枚今度は本気で描かせて欲しい」といい、家に持ち帰り仕上げることに。
お代はもらったの?と聞くと、支払いたいという申し出があったにも関わらず最初のお代のみで引き受けたという。
「二人の一番輝く瞬間に立ち会わせてもらえるだけで十分です」
やさしい思いを感じられる素敵な出会いがあちこちにある。
大がかりな木工棚を持っててづくり市の会場内をうろうろする木工作家さん。
てっきり売れた作品をお客さんの車まで運んであげているのかと思っていたがそうではなかった。
「(作家の~さんは)今日は出てないのかしらねぇ」
聞くと出店用のディスプレイをオーダー注文され、完成したので渡しに来たそうです。
既製品では満足できなくて自分用にディスプレイ作ってもらう作家さんは意外と多い。
作る人も出店者だから、持ち運びのしやすさを含めて色々提案してくれる。
アフターケアもばっちりで、出店中にちょこっと直しにきてもらえるなんて喜んでいる方もいた。
「お渡ししたあとの事も気になるから、簡単には休めないの」
作家同士のつながりがてづくり市をさらに魅力的なものにします。
てづくり市などで出会った手作り仲間同士で、自宅またはお店を借りて「1Dayショップ」「お家ショップ」など開かれることも。
4~5名のグループで開催するものから、中にはゲスト作家を呼んで20名規模になるイベントもあるそう。
自宅やカフェの一角を借り切って1日~2日限りのショップをするのが一般的で、お客さんは口コミを通じて地域を中心に、手作り好きが集まります。
店主同士が考え抜いた、細部まで配慮の行き届いた素晴らしい1Dayショップ。
一度開催され好評を集めると、要望に応えて地域に定着することも多いです。
楽しい企画を用意している市も多く見られます。
1年のご愛顧に感謝してのプレゼントなどありますが、あるてづくり品がもらえる抽選会の話。
小さな女の子が抽選券をもってやってきました。
運営としては女の子が喜ぶものがあたればいいなぁと思うわけですが、抽選をし手にしたものを見た女の子の様子がちょっといつもと違う。
「どうしたの?」と聞くと・・
「これ・・お母さんの!本当にうれしい♪」
「お母さんの作品でうれしい」
すぐに状況が飲み込めなかったのですが、どうやらいつもお母さんの作っている作品を家で見ていて欲しいと思いつつも、いいだせなかったのかなと勝手に想像。
その後お母さんがやってきて「うちの子が嬉しそうに私の作品を持って帰ってきて驚きました」とこれまた嬉しそうな笑顔。運営一同その空気にほっこりさせられました。
運営していて、てづくり市ならではのあったかい雰囲気を感じることがよくあります。
何気ない一コマなのですが、一つの作家ブースに見入るお客さん同士が会話をしている場面を見かけたことがあります。
お友達や知り合いなのかと言えばそうでもなさそう。
想像するに、作家さんが作品にこめた思いをお客さんに話しているうち、横にいたお客さんも聞き入って、気がついたら・・。なのかもしれません。
作品に込められた思いが人と人をつなぐのだと思います。その思いを感じ取れる瞬間があちらこちらで見られることこそ、てづくり市の最大の魅力かもしれません。
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